亀山早苗の恋愛コラム

既婚者のレスは6割、若者は絶食化…変わる性への意欲「今や富裕層しか結婚できないんじゃ…」

夫婦間のセックスレスが激増しているという。性に関することはとやかくいうことではないが、若い世代もまた、恋愛や結婚などへの考え方が劇的に変化してきていることは確かなようだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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夫婦のセックスレスの割合が64.2%という衝撃的な数字が出た。これは日本人の性に関する実態調査「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024」で分かった。前回の調査(2020年)では51.9%だったから、激増と言ってもいいレベルだろう。
既婚・未婚問わず、日本人のセックスレスは激増しているようだ

既婚・未婚問わず、日本人のセックスレスが激増している理由とは?

<目次>

若い男性の草食化が進化(?)した

さらに「セックスをしたいと思わない」と答えた10~20代の男性は36.6%。他の世代の男性は10%台だから、若い男性たちの一部は草食が進化(?)して“絶食”になっているとも言われている。性欲などというものは個人のもっともプライベートな問題だし、したくない人にしろとも思わないが、結果としてセックスしたくない人が増えれば少子化になるのは当然である。

海外大卒業の場合はレス度が低い

もうひとつ調査で興味深かったのは、海外の大学を卒業した人でセックスレスだと答えたのは12.9%だったこと。他の学歴の人たちが6%~70%を占める中、突出した数字である。若い時代を海外で過ごすことによって、性に対してもオープンになりやすいと考えるのは間違っているだろうか。10代から20代前半の若い世代にとって、日本は何もかも息苦しさに満ちているのではないだろうか。  

45歳男性の場合|既婚レス歴3年でも「愛と性は別」

夫婦にとって「愛と性」はセットなのだろうか?

夫婦にとって「愛と性」はセットなのだろうか?

「セックスしたいと思うことはあるけど、別にしなくてもいいとも思うんですよ」

そう言うのはタカシさん(45歳)だ。現在、15歳を筆頭に3人の子を共働きで育てているため、生活は子ども中心。夫婦仲は悪くない。週末は一緒に寝室で映画を観ることもある。

「ただ、ふたりとも疲れているのは確か。映画だって結局、最後まで観られずにふたりとも寝落ちしていることが多い。それでも子どものことや昼間あったちょっとしたことを話すのも日課だし、だいたいいつも笑いながら過ごしている。家庭生活は順調です」

だがセックスからは遠ざかっている。最後にしたのはいつだっけと彼はしばし沈黙した。おそらく3年くらいはしていないんじゃないかな、と言った。

「性欲がなくなっているわけじゃないし、妻が出張のときにエロい映像を観ながらひとりですることはあります。でも妻とのセックスと考えると、ちょっと面倒だなというのが本音」

妻とレスについて話し合った

実はタカシさん、このままでいいのかと悩んで、妻と話し合ったこともある。妻も「そんなにしてなかったっけ、私たち」と言いながら、「なんだか今さら恥ずかしいよね」と笑った。

「お互いにその気になったときに考えようと言いながら3年たってしまった感じですね。妻のほうもその気になっていないんだと思います」

子どもたちは毎日、さまざまな問題を持ち込んでくる。彼らが生き生きと生活できるようにするために夫婦は力を合わせている。子どもたちが成人したら、今度は夫婦で向き合う時期が来るだろうとタカシさんは言う。

「とりあえず、それまでは妻との人間関係を維持したい。家族としていちばん信頼する人ですから。妻を愛してはいるけど、だからといってセックスしなければいけないわけではない。そんなところで僕ら夫婦は納得しているんじゃないかな」

多くの夫婦はそう思っているのかもしれない。

25歳独身男性の場合|他人と「濃厚接触したくない」

職場の先輩も独身が多いから独身に「不安はない」との声も

職場の先輩も独身が多いから独身に「不安はない」との声も

「どうしてもセックスしたいとはあまり思わないですね」

苦笑しながらそう言ったのは、ノブヒロさん(25歳)だ。就職して2年がたち、ようやく仕事にも慣れてきたところ。学生時代に付き合った女性はいるが、ここ4年は恋人もいない。

「恋人がいる友人もいるし、セフレがいる人もいる。でも僕みたいに、恋人なしで男友だちとつるんでるのが楽しいというタイプも多いですよ。中には、仕事以外はオンラインでゲームをするのがいちばん好きで、リアル友だちはいらないという人もいる。僕は週末、ジムに行ってフットサルをやっているので、運動後みんなで一杯やるのが楽しみですが、そういう楽しみを求めていない同世代も多い」

恋愛について特にトラウマがあるわけではないが、「女性と付き合わなくても寂しくない。恋愛は今の自分には向いていないのかも」と思うこともあるという。

「特にコロナ以降、人と濃厚接触する習慣がなくなってしまったので、それがスタンダードになりつつありますね。コロナも完全終息したわけではないし、インフルエンザも流行っているなんて聞くと、人とは距離をとりたいと思ってしまう。

思い返せば、恋なんて面倒なだけだったし、セックスで男として点数つけられるような気持ちを味わったのも嫌だと感じて。結婚を意識する年齢になればまた変わるのかもしれないけど、職場でも30代男性の多くが独身なので、結婚を焦ることもない」

「富裕層しか結婚できないんじゃ」

女性のみならず、男性だって今どき「結婚しないのか」と上司に言われたら、モラハラだパワハラだと言われてしまう時代。上司が結婚相手を紹介してくれるなどということはほぼないだろう。

「だから少子化が進むんだと言われても困りますよね(笑)。僕だって収入は低いし、恋愛や結婚はお金がかかる。今や富裕層しか結婚できないんじゃないのと言ってる先輩もいて、みんなで賛同しています。経済的に余裕があれば結婚するのかと言われると、そうだとも言えないんですが」

結局、若い世代にとって、将来に希望がもてないこと、家庭というものが幸福の象徴ではなくなっていること、さらにあらゆる場面において日本では恋愛を育む土壌がないこと、セックスを楽しむ風潮もないことなどが彼らの「恋愛や性への意欲」を削いでいるのではないだろうか。

<参考>
・「夫婦6割がセックスレス 性の実態調査で判明 若年男子の〝絶食化〟裏付けも」(産経新聞)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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