睡眠

Q. 「眠るだけで風邪予防になる」って本当ですか?

【日本睡眠学会所属医師が解説】「睡眠不足だと風邪をひきやすくなる」と言われますが、科学的に本当でしょうか? 睡眠と免疫の関係について、分かりやすく解説します。

坪田 聡

坪田 聡

医師 / 睡眠 ガイド

日本医師会、日本睡眠学会所属。ビジネス・コーチと医師という2つの仕事を活かし、行動計画と医学・生理学の両面から、あなたの睡眠の質の向上に役立つ情報をお届けします。快眠グッズや気になる研究発表など、睡眠に関連する最新情報も豊富にご紹介します。

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Q. 「眠るだけで風邪予防になる」って本当ですか?

眠る女性

眠るだけで風邪予防になる? そのしくみとは


Q. 「睡眠不足だと疲れがたまり、体調を崩しがちになります。でも、『眠るだけで風邪も予防できる』というのは本当でしょうか? 何となく、言いすぎな気がします。感染症にならないために、手洗いやうがいが大切というのは分かりますが、睡眠を取っても、ウイルスや菌を遠ざけることはできませんよね?」
 

A. 本当です。免疫は眠るだけで強化でき、睡眠不足の状態では低下します

風邪やインフルエンザの原因となる、ウイルスや細菌。体の中に入って感染するのを防ぐために、手洗いなどの予防法が効果的なのはたしかです。これに加えて、眠ることも感染症予防になります。

感染症に対する私たちの「免疫力(抵抗力)」は、睡眠中に維持され、強化されるからです。

睡眠に関する動物実験で、全く睡眠をとらせない状態を続けると、生き物の体にどのような影響が出るかを調べたものがあります。この実験では、数週間で全ての個体が死亡してしまったことが報告されています。解剖調査によると、著しい睡眠不足によって免疫力(抵抗力)が低下し、体中で「菌」が増殖したために、敗血症を起こしたことが死因になったようです。

人間の場合も同様です。睡眠時間が短すぎたり、眠りが浅かったりして、睡眠不足の状態になると、免疫力は落ちてしまいます。結果的に、風邪やインフルエンザにかかりやすく、また、治りにくくなってしまいます。質のよい睡眠を十分にとるだけで、風邪やインフルエンザ予防に役立つのです。

さて、インフルエンザの流行からも分かる通り、ウイルスは寒くて乾燥した季節を好みます。多くの風邪やインフルエンザのウイルスは、喉の粘膜から私たちの体に入りこみ、増殖していくのです。喉の粘膜が乾燥していると、表面の細胞が死んで剥がれ落ちてしまい、ウイルスはより簡単に体内に侵入しやすくなります。

眠っている間に風邪やインフルエンザ予防をしたい人は、ぜひ1日の3分の1を過ごす寝室の環境を整えてみてください。室温は15~20度、湿度は50~60%を目安に保つことで、喉の粘膜を保護できます。

さらに詳しく知りたい方は「睡眠不足でリスク増!インフルエンザ・風邪予防に睡眠が大事な理由」をあわせてご覧ください。
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