タワーマンション

今や世帯年収1400万円でも手が届かない…結果的に「都心のタワマン」を買っているのは誰?(2ページ目)

昨今のタワーマンションは、人気の一方、不安材料についても指摘されています。それでも2021年に国内で竣工した超高層マンションは、前年比で16.5%増。2022年以降も、戸数にすると11万2142戸が完成予定です。不動の地位を築いたタワーマンションの最新事情について紹介します。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

この先、分譲価格が下がる要素はあるのか?

では今後、タワーマンションを取り巻く取引環境はどのように推移するのか? ―― この点についても柿崎編集長に聞いてみました。氏いわく、すばり「現状並みの供給が続き、分譲価格が下がる要素はない」との見立てです。

「そもそも東京五輪の開催後に住宅市場が冷え込み、都心のマンション価格が暴落するというシナリオ(予測)にも否定的だった。東京一極集中の潮流は(コロナ禍を経ても)続いており、職・住・遊・学など多機能が集積する都心に人々が流入するのは自然な流れ」(柿崎氏)と説明します。
 

都心のタワマンは「買い」なのか?

以上を踏まえ、最後に本題である「都心のタワーマンションは買いか?」どうかを質問しました。色々な説明はありましたが、最終的に行き着いた答えは「希望条件を満たした物件が、たまたまタワーマンションだった」という返答です。

購入の動機や目的は人それぞれ。たとえば相続対策を兼ね、シニア層が一戸建てから住み替えるケースもあれば、リセールバリューの高さに惹かれ、実需と投資を半々にタワーマンションを購入する人もいるでしょう。さらに、「地方の駅前タワマンでは農家の方がご子息のために購入する例もある」(柿崎氏)といいます。

肝心なことは、必ずしも「タワーマンションありき」という形式で選んでいるわけではないということ。「生活利便性など希望条件を満たした物件が、たまたまタワーマンションだった」という“結果論”でタワマンを選んでいる方が多いと柿崎編集長は分析します。

住宅選びは「縁もの」といわれます。収入や容姿で結婚相手を選ぶのではなく、「好きになった人がたまたまエリートだった」という出会いが良縁につながるのと同じです。住宅業界では「一戸建て」か「マンション」かといった二大論争が存在していますが、資金面や条件面を整理した結果、「マンションのほうが希望に近かった」という判断・決断が、結果的に高い満足度に直結するのです。決して「マンションありき」ではないわけです。その意味では、「タワーマンション暮らしに向いている人・向いていない人」などといった質問はナンセンス(的外れ)ということになります。

繰り返しになりますが、ポイントは「自ら選択肢を狭めない」ことです。一戸建てや低層マンションも検討し、目的や条件を比較考量の末、そのファイナルアンサーに従って判断するようにしてください。

決して、ステイタス性(セレブ感、勝ち組・成功者の証し)やリセールバリューの高さを理由に都心のタワーマンションを買うなと言っているわけではありません。投資対象にしている人も一定数います。タワーマンション難民の懸念や大規模修繕工事の積立金不足が気になる人はタワーマンションを選ばなければいいだけの話です。

問題を複雑化させず、もっとシンプルに考えましょう。マイナス思考は購買行動を硬化させるだけです。リスクへの警戒は必要ですが、ダメ出しの応酬は話の進展を腰折れさせます。予断を持たず、広い視野と柔軟な発想に基づき、結果的に「行き着く先がタワーマンションだった」という選択行動が購入者の満足度を高めます。住宅選びは「ありき論」ではなく「結果論」が肝要となるのです。本稿を契機に「結果論的なマイホーム探し」―― ぜひ挑戦してみてください。
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