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正しい情報はどれ?医療情報の見分け方3つのポイント

昨今問題になった医療情報の信頼性。特にネットに書かれている医療情報は玉石混交の状態と言われることもあり、正しい情報と誤った情報の判断は、知識がない状態では非常に難しいものです。しかしネットも上手に活用すれば、有用な知識・情報を効率よく知ることができます。正しい医療情報を見分けるために、最低限押さえておきたいポイントを解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

不確かな医療情報が原因で受診する方も……ネット検索のリスク

ネット検索

ネットで検索すると、より不安になることはありませんか?

人は誰でもできるだけ健康でありたいと思うもの。身体に何らかの不調を感じた時、もしくは健康の予防・維持に努めたい時など、生活をしていく上で、医療情報を利用する機会は多いかと思います。特に不安な症状があってネット検索をしている時は、検索結果の中でも怖い病気ばかり目につき、一層不安を強めてしまうことも多いようです。

実際に病院を受診される患者さんの中にも、ネットで調べて得た情報で不安になったから、という方は珍しくありません。キーワードで検索した際に、上位に出てきた情報が正しい医療情報かどうかの判断は、検索者が持っている前提知識の量によっても、差が出てきます。しかし、よく判らないから検索しているのですから、初めて目にした医療情報が正しいかどうかをゼロから判断するのは簡単ではないでしょう。医療情報の真偽を見極めるために、医師として最低限押さえるべきと考える3つのポイントをご紹介します。

信頼性を見極めるポイント1:サイト名や情報提供者の確認

医師

医療情報の信頼性を見極めるポイントを整理しておきましょう

当たり前かもしれませんが、まずは医療情報を提供しているサイトそのものの信頼性を見極めましょう。主に、官公庁の情報の多くは信頼性が高いと考えられます。一定のルールがあり、通常はそれをしっかりとクリアしたものが記載されるからです。さらに学会などの情報は、専門医によって情報が提供されていますので、こちらも信頼性が高いといえます。その他、例を挙げるとすれば、感染症については医師も情報を引用することがある国立感染症研究所のサイトなどでしょうか。サイト内の記事も執筆者や引用文献がはっきりと明示されています。

以前、一部の医学論文の信頼性が問題になった事件もありましたが、論文を作成するには、当然、書いた本人の名前、目的、方法、実験結果、実験結果に対する考察が必要です。医学的根拠の多くは、このような形で作られた医学論文を根拠にしているのです。そのため、情報提供者の信頼性が判断できない匿名での医療情報には注意が必要です。

そして医療情報を見極める上では、やはり最低限専門知識を有する医師が書いたものか、もしくは監修されているものかが重要になってくるでしょう。医師が書いた記事はもちろん、その他の領域における専門家、例えば医療分野なら薬剤師などの有資格者が書いた記事でも信頼できる情報といえるでしょう。一方で、個人のブログやSNSの場合は個人の体験談に近いものも多いため、信頼できるものかの検証は難しいかもしれません。

「医療情報を提供している個人は誰なのか」「その内容に論文などのデータを根拠に示せているか否か」がポイントになります。執筆者の顔を出している場合や実名で情報を提供している場合、批評をうける内容や間違った情報を無責任に書く事はできないため、そういった記事は信頼できるでしょう。また、医師によっても治療方針や病気の考え方には様々な主張がありますので、さらに踏み込んで一般的な情報として信頼してよいかを確認したい場合は、その医師がどういった病院でどういった診療に携わっているかなどを確認するのもよいかもしれません。さらに、専門医を持っているかどうかはポイントかもしれません。専門医になるには、試験と経験が必要になり、今後、客観的な組織が認定することになっています。

信頼性を見極めるポイント2:食品やサプリメント紹介には要注意

また、少し難しい話になりますが、ルールを無視した医療情報の信頼性は、当然ながら低いと考えるべきです。例えば、食品やサプリメントでいかにも効果があるような記述は、医薬品・医療機器に関する法律(医薬品医療機器法)に抵触する可能性があります。医薬品でもないのに「○○だけで痩せた」「多くの人の○○が治った」等、特定の商品や手法の絶対的な効果を謳うような医療情報には注意が必要です。

また、同様の理由で、いたずらに不安をあおる内容のものにも注意が必要です。不安の先に、何かの商品を販売しようとする内容があれば、その医療情報はそもそもビジネスでの営利目的で提供されている恐れがあるからです。

信頼性を見極めるポイント3:医療情報は最低2つ以上を見るように

最後のポイントです。つい面倒になって、1つだけの情報を信じこまないようにしましょう。もちろん上記のような信頼性の高い情報源であれば、1つでも構いませんが、多くの情報の中には非常に良い内容のものもあれば、信頼できない誤った内容のものも存在しています。まずは2つ以上の情報を比較検討することをおすすめします。特に情報源がはっきりしない場合、矛盾点を発見するためにも、この比較は重要です。

そして、自分が理解できた部分について、可能であれば再度改めて検証してみると良いかもしれません。自分で書いたものでも1日寝かしてみるとよいと言われますが、検索で新しい情報を得た場合も、狭い視野でとらわれないよう、時間を置いた後に検証するとなお良いでしょう。例え衝撃的に思えた情報だったとしても、翌日、再度批評家の目で見ると、その真偽について冷静に考えることがあるからです。1日も待てないという方は、医療情報を見た後で、一旦、別の作業をしてみて、もう一度見るのも良いでしょう。複数の信頼できるサイトが同じような情報を扱っていれば、信頼できる情報という判断の助けになるかもしれないからです。

あえて「かもしれない」と言っているのは、どんな内容かによって、情報の信頼性は変わってくるためです。2つ以上の医療情報でも、人はつい都合の良い部分のみを見てしまう可能性があります。極端な情報に流されないよう、できれば普段から偏りなく、さまざまな方向からの見方ができるようしておくとよいでしょう。
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