肥満・メタボリックシンドローム/肥満解消・メタボ対策の生活習慣

食生活から考えるサルコペニア肥満対策

サルコペニア肥満は「太る→体を動かさない→筋肉が減る→太る……」の負のスパイラルで起こります。このスパイラルを断ち切るためには筋肉をつけてやせる必要があります。サルコペニア肥満を解消するための食事のコツと筋肉トレーニングについての重要ポイントを詳しく解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

サルコペニア肥満とは

目玉焼き

サルコペニア肥満の予防や解消には良質なたんぱく質を摂ること適度な運動が重要です。

「サルコペニア肥満」をご存知ですか? 「肥満は分かるけど、サルコペニアって何?」と思われた方も少なくないかもしれません。「サルコペニア」とは主に加齢に伴って筋肉が徐々に衰えていくことです。寝たきりなどで体を動かすことの少ない高齢者の問題として近年、脚光を浴びはじめました。もともとは高齢者の問題として扱われがちだったサルコペニアですが、健康な人にも同じような現象は起こり得ます。例えば、骨折などで足にギプスをはめて治療を行った際、骨折が治ってギプスを外しても、今までどおりに上手く歩けないといったことを経験した人もいると思います。これは筋肉が萎縮した状態でサルコペニアと同じ原理です。筋肉がおとろえるスピードは思った以上に早いのです。

一方で、肥満に目を向けてみると、太っている人は一般的に体を動かすことが苦手です。そのため運動不足となり、筋肉量が減ってしまいます。筋肉量が減るからさらに体を動かすことがおっくうになってしまい、さらに筋肉量が低下する・・、という負のスパイラルに陥るのです。この負のスパイラルが、働き盛りの肥満者にも増えていることから「サルコペニア+肥満」で「サルコペニア肥満」という新しい考え方が生まれました。

筋肉をつけてやせる方法は? サルコペニア肥満を予防する食事

「サルコペニア肥満」は「太る→体を動かさない→筋肉が減る→太る」の負のスパイラルで起こります。この負のスパイラルをどこかで断ち切るためには、「筋肉を増やす」または「やせる」の2つしかありません。しかし、一般に単純に筋肉を増やそうとすると体重は増えてしまう傾向にありますし、単純にやせようとすると筋肉はやせ細ってしまうことが多くあります。そこで「筋肉を増やしながらやせる」という一見矛盾した2つのことを同時に行う必要があります。そのために食事でできることがあります。それは、良質なたんぱく質を十分に補給することです。筋肉の主成分はたんぱく質ですので、材料となるたんぱく質を補給することは非常に重要です。特に、BCAAの愛称で知られる必須アミノ酸の一種である「分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)」は筋肉を増やすことで知られています。スポーツ用品店に行くと、「アミノ酸」や「プロテイン」のコーナーでよく売られているのはそのためです。食品中では、BCAAは肉、魚、牛乳、卵などの動物性食品に多く含まれています。

しかし、残念ながらBCAAだけを多く摂っても、体内で上手く使うことはできません。実は、必須アミノ酸はBCAAを含めて9種類が知られていますが、9種類すべてをバランスよく摂取しないと体内で活用できないのです。この状態は木製の桶にいくら満杯にしようと水を入れてもいちばん高さの低い桶板から水がこぼれてしまう状態に例えて「アミノ酸の桶」と呼ばれています。

これはたんぱく質と他の栄養素との関係を見ても同じことが言えます。たんぱく質が筋肉の材料だからとたんぱく質だけを多く摂っても、体内で上手く活用することができません。そのため、たんぱく質以外の栄養素である炭水化物や脂肪、そしてビタミンやミネラルなどの補給も重要です。最終的にはやはり、たんぱく質が少し多めのバランスのよい食事を腹八分目を心掛けて食べるようにし、筋肉量を増やすための運動することが一番のポイントとなるようです。

サルコペニア肥満の予防・解消には筋肉トレーニングも必要

筋肉を増やすには、材料であるたんぱく質を摂取する他に、運動も必要になります。人間の体は「必要なものを必要なところに」作ろうとする性質があります。運動して筋肉を使う活動を増やさなければ「(筋肉なんて)使わないんだから、作らないよ」ということになってしまいます。そのため、筋肉量を増やすには運動が必須ということになります。

運動の内容は、はじめからハードなマッスル運動を行う必要はありません。サルコペニア肥満の場合、過体重で体が重い上に筋肉量が低下しています。いきなり強い筋肉トレーニングを行おうとして、思うようにできず心がへこんでしまうのであれば逆効果です。そこで、私のオススメはラジオ体操。どこにいてもできますので、手足をピンと伸ばして本気で行ってください。ラジオ体操は、全身運動ですので、かなり息が上がるはずです。もしかすると、最初は、第一の最後まで続けられない人もいるかもしれませんがそれでも構いません。少しずつ長く続けられるようになるはずですので、無理のない範囲で行うのがよいと思います。他にも、近所を散歩するとか、TVを見ながらストレッチをするとか、手近なところから運動習慣をつけましょう。

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