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海や山の神様たち-ここでも今でもない話-

教授の『GEM』に1曲収録されていた幻のアルバムがCD化! 合唱団の子供たちは、教授をピアノのうまいお兄さんと呼んでいたそうです。このアルバムを企画をした及川恒平(六文銭)さんに話を伺いました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

幻のアルバム、再発!

六文銭としても活動した及川恒平氏の企画によって1975年に生まれた幻のアルバム『海や山の神様たち-ここでも今でもない話-』が、紙ジャケで6月21日に再発されました。当時まだ無名だった坂本龍一氏、山下達郎氏が参加した作品としても知られています。

少年少女合唱団みずうみが歌う、一見子供向けの作品に見えますが、複雑なリズムでアイヌ文化に触発された詞を子供たちが歌うという実験的作品になっています。矢野顕子さんの『ごはんができたよ』に収録の「YOU'RE THE ONE」(作曲:矢野顕子/坂本龍一)は、このアルバムに収録の「アイヌの宝物」がベースになっています。当時を振り返って、及川さんにお話をいろいろと伺ってみました。

また、このインタヴューを取り持ってくれた、歌人・笹公人さんにもここで感謝いたします。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
海や山の神様たち-ここでも今でもない話-
01. 長い長い昔話
02. 神様の絵
03. 天の滴
04. ものおぼえのいい郵便屋さん
05. 星のある川(リコップオマウチ)
06. 海を守る神様
07. ピリカコタン
08. コロポックル
09. アイヌの宝物
10. 火の子供達
11. 丹頂鶴
12. 神様だって


出発の歌

ガイド:
出発の歌
はじめまして、及川さん。及川さんは、六文銭のメンバーとしても活躍されましたが、六文銭と言えば、一世を風靡したTVドラマ「木枯し紋次郎」の主題歌「誰かが風の中で」やその前年に第2回世界歌謡祭でグランプリを獲得した「出発の歌」を思い出します。当時僕まだは子供で、「出発」をどうして「たびたち」と読むのだろうと不思議でした(笑)。この曲は上条恒彦と六文銭として発表されていますが、六文銭が上条さんといっしょにやるようになったきっかけは?

及川:
「出発」をたびだちと読むのは単なる思いつきであってあんまり深くは考えませんでしたが、当時このコピーはたくさん出現しました。曲名としてもそうですが、万年筆(死語?)などの商品名にも使われていました。上条さんがこの歌の歌手であって、我々六文銭は、単なるにぎやかし(バックコーラス)でした。小室と上条氏が知り合いでした。つまり前年度の日本歌謡祭にも二人で出場しているはずです。

ガイド:
「出発の歌」の作詞は及川さんですよね。この歌はヒットしましたが、最初からいけるという自信はあったのでしょうか?

及川:
僕がこの歌を書いたきっかけは、小室さんと組んで出品する予定だったかぜ耕士氏が降板して、グループのメンバーだった僕がピンチヒッターとして書いたのです。それまで、歌詞などろくに書いたこともありませんでした。数日で仕上げたおぼえがあります。なんせ、自分の立場をよくわかっていませんでしたから。

世界歌謡祭の予選として、日本歌謡祭があり、それにまず出場したのです。歌謡祭の名前がしめすように歌謡曲としてのコンテストですから、僕らフォークソングの市民権など歌謡界にはまるでない時代だったので、自信もなにもありませんでした。

大会が行われた三重県のねむのさとで、ぼくら六文銭のメンバーは自転車に乗ったりして遊べるからというのが楽しみで行ったのです。実際、グランプリ発表など関係アラヘンと思っていたので、帰りのバスに乗りかけていました。それを降ろされて表彰式にでて、グランプリ受賞曲として、もう一度歌いました。

その夜の受賞パーティは、当時の歌謡界の作曲家、作詞家はほとんど欠席で、フォークやロックの連中だけが会場で騒いでいました。ただし、その数ヶ月後の世界歌謡祭は、僕はグランプリをとると思っていたので、取材ではそう発言し、完全な“テング”と思われたようです。今でも流れがあったのだと、思っています。まだ“テング”ですか。
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