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シェットランドフォックス黄金期を振り返る(5ページ目)

日本の既製靴の歴史のなかで、エポックメイキングなブランドが日本製靴が手掛けていたシェットランドフォックスです。その黄金期ともいえる1980年代のモデルを振り返ってみました。

倉野 路凡

倉野 路凡

メンズファッション ガイド

流行に流されない「王道スタイル」を、メンズファッションに精通するガイドが伝授。

英国既製靴を彷彿させる質実剛健な作り


SHETLAND FOX
1985年暮れ~1986年春頃の旧シェットランドフォックスのアウトソールです。当時としてはウエストを絞っている方でしょう。出し縫い糸は隠していません。

この国産セミブローグはもちろんグッドイヤーウエルト製法で、ソールは出し縫い糸が見える潔さ。このあたりもチャーチっぽいです。

ウエストの絞りはそれほど強くなく、実用性重視の既製靴といった感じですね。アッパーは最近までライセンス生産していたジョンストン&マーフィーのようなポッテリ感はなく、けっこうスマートなフォルム。

アッパーの素材はリーガルお得意のキップで、そこそこのクオリティーのものでしょう。この靴に関してはライニングの高級感もいまひとつ。このあたりは新生シェットランドフォックスのほうが間違いなく格上ですね。

SHETLAND FOX
現在の既製靴に比べるとヒールカップはあまり立体的ではないです。ただし日本人の小さな踵には合っています。ヒールは修理のときに交換していますが、オリジナルもピッチトヒールではなかったです。

最近の既製靴によく見られるベヴェルドウエストやピッチトヒールといった、既製靴なのにビスポーク靴に見せようとする小細工もなく(笑)、このあたりも潔いですね。かなり好きです、こういうところ。

というか当時は、既製靴にそんな高級感のあるデザインを取り入れようとする靴メーカーはなかったですから・・・。昔のチャーチが好きな人はたぶん好きだったと思いますよ。

ブリティッシュコレクション
右/が1986年頃に購入したリーガルシューズ オリジナル ブリティッシュコレクション。英国製。左/旧チャーチのチェットウィンド(73ラスト)。同じセミスクエアトウなので比べてみました。ブリティッシュコレクションはアッパーがキップで、ウィズが少し大きいこともあり、隣のチャーチに比べてシワが目立ちます。現在では少なくなった英国のショートノーズの伝統的なトウだと思います。

ちなみにほぼ同時期に展開していた「ブリティッシュコレクション」はノーザンプトンのファクトリーで生産させた英国製でした。

こちらは価格を抑えていて1986年当時でフルブローグが34,000円でした。クオリティーは英国製シェットランドフォックスのほうが上だったのでしょう。

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