子育て/子育てに役立つ最新心理学

「イヤイヤ期がないけど大丈夫?」その4つの理由

2歳の頃によくみられるイヤイヤ期。あればあったでママは大変ですが、なければないで心配になります。意外に多い「反抗期がない」というお悩みにフォーカスを当て、主な理由を4つ挙げてお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

魔の二歳児が現れない、その理由とは?

イヤイヤ期がないパターンにも色々とある

イヤイヤ期がないパターンにも色々とある

第1反抗期とは、周囲の環境に対する反抗が著しくなる時期で、自我の芽生えから来るものとされています。乳児期のママと一体化したような共生的関係を抜け出し、自分の足で歩き、自らの言葉で訴えるこの時期。「自分はママと一緒ではない」という認識が強まり、周りが何を言っても、拒否したり、反抗したり、反対のことをしたりするようになります。

発達の一過程のため、一般的に「あって当たり前」という認識があるイヤイヤ期。この時期の子を持つママが集まれば、「イヤイヤ期」「魔の二歳児」「第一反抗期」という言葉が飛び交います。しかしその中に、たいがいこう感じているママがいます。「うちの子、反抗期がないけど大丈夫かな?」

反抗期があって当たり前という環境にいると、逆にないことが不安になるもの。ふだんは、イヤイヤ期の対処法などについて書くことが多いのですが、今回は「反抗期がない」と心配しているママ向けに、その理由をまとめてみました。はじめの2つは良い理由、あとの2つは改善が必要な理由です。現況と照らし合わせながら、読み進めてみてください。


理由1:「こんなもんでしょ」と思っているから

2歳のときの反抗期ほど、有名で奇抜なネーミングはありません。「魔の二歳児」「テリブル・2」。しかし、子育てをほぼ終えた二十歳のお子さんを持つママに、こんな質問をしたとします。

「魔の2歳児が一番大変でしたか?」
「イヤイヤ期が、やはりママにとっての一番の山場でしょうか?」

すると、こんな答えが返ってきます。

「あったあった、可愛いかったわ~」
「何でもイヤイヤで、なつかしいわ~」

そう、実際には、イヤイヤ期もかすむほどの、「〇〇期」「〇〇の壁」などが、次々にやってくるのです。

2歳の反抗期がママにとって辛く感じられるのは、新たな経験の連続に圧倒されているときにやってくる難所だからです。もし、今の状況を、「こんなもんでしょ」と反抗期として感じていないだけなら、それはむしろ”立派なお母さん”の証。何も心配はいりません。


理由2:親が子供の気持ちを尊重した対応をしているから

あるアメリカの大学の研究で、魔の二歳児についてのデータがあります。それによると、この時期をどう過ごせるかは、アタッチメントの強さがカギを握っているのだそうです。アタッチメントとは、親子の精神的な絆のこと。この力が強いと、もし子供と意見が合わなくても、歩み寄ったり、折れ合ったりして、上手にわだかまりを解決、解消できるのだそうです。

アタッチメントの強さを作るのが、ママの応答感受性の高さだということが分かっているのですが、この「応答感受性」の軸となる「察する力」、これが、ナイーブなこの時期の子供心に優しく響くものと思われます。子供の微細な変化にきちんと気がつき、応えてあげられるからです。

「応える」といっても、なんでも言うことを聞いてあげるという意味ではありません。「その気持ち分かるわ」といったん、子供の気持ちを受け止めてあげる姿勢です。「言うことを聞いてくれるママ」ではなく、「話を聴いてくれるママ」なのであれば、反抗期としての表れ方は薄くても、お子さんの自我発達はきちんと促されていますので、心配は無用です。


理由3:親が先回りしてなんでもやってしまっているから

「我が子の辛そうな顔は見たくない」親ならだれもがそう思うもの。しかし、何かを達成するときに、歯を食いしばることも必要です。頭の中ではそれが分かっていても、いざ我が子を前にすると、可愛さもあって、すべてお膳立てしてあげたくなることがあります。ママが我が子の心の痛みをゼロにしようと、先回り先回りで0歳からやってきてしまうと、それが2歳になるころには、すっかり育児スタイルとして定着してしまうことに……。そして、ママがなんでもやってくれる、だから、つまずくことがない。よって、反抗することもないという状態が発生します。

幼少時は、子供の活動範囲が狭いので、お膳立てや先回りが可能ですが、年齢とともに社会が広がると、それが不可能になっていきます。そのときになって、子供が数々の「お膳立てされていない状態」を経験するのは、逆に可哀想です。なんでもやってあげるのが”いいママ”ではありません。もし、これに当てはまるかもという場合は、あえて手をかけない子育てを取り入れることで、お子さんは、自分で踏ん張る経験をしながら、自我を出すようになっていきます。


理由4:押さえつけすぎているから

冒頭にも書いたように、イヤイヤ期は、自我が発達する過程で発生します。もし、親が圧倒的な力で、子供の気持ちを押さえつけてしまうと、その子は、自分を表出する術を知らずに育つことになります。そして、思春期辺りに、「意思が弱い」「自分が見出せない」といった形で、問題化することが多いので注意が必要です。

押さえつけるパターンには、次のようなものがあります。

  1. 親が、強い言葉で主張を説き伏せたり、腕力(肩をゆする、叩くなど)でねじ伏せる
  2. 目線や態度などで、子供が何も言えない雰囲気を醸し出す
  3. 「〇〇ちゃんは本当にいい子ね」と「いい子のレッテル」を貼り付けて、そこから脱線できないようにしてしまう

1と2は、想像がつきやすいと思います。ここで注目すべきは、3つめの「いい子のレッテル」です。一般的には、「いい子=言うことをよく聞く子」。だから、自我を出したいこの時期の子供たちには適切なレッテルではありません。とくに割り切りのいい子、我慢がきく子には、うまく自分を出せるように、親が意識して、「いい子レッテル」を外してあげてください 。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で子育て関連の書籍を見るAmazon で子育ての書籍を見る
【編集部からのお知らせ】
・「都道府県のイメージ」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!(目安所要時間5分)

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※回答上限に達し次第、予定より早く回答を締め切る場合があります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます