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35坪(115平米)の間取りを解説!20畳リビングも可能な間取り

各階の床面積の合計(延べ床面積)が35坪(115平米)の家であれば、工夫次第で「20畳の広々リビングが欲しい」という夢が実現可能です。今回は、憧れの20畳リビングを35坪の家で実現した間取り・プラン例を紹介します。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

35坪(115平米)の家の間取り

335坪(115平米)の間取りを解説!20畳リビングも可能な間取りとは

35坪の家なら20畳のリビング・ダイニングも夢じゃない(イメージ)

テレビや映画で見かける外国の家は玄関やリビングが広々しており、せっかくマイホームを建てるならそんな家がいいな、と憧れる人もいると思います。

では、例えば20畳の広いリビング・ダイニングを確保したい場合、どの程度の規模の家なら可能になるでしょうか。今回は延べ床面積35坪(115平方メートル)の家で20畳のリビング・ダイニングを確保した間取り例を見てみたいと思います。

【目次】

延べ床面積35坪は広い?理想の間取り?

ところで現在、1住戸当たりの延べ床面積の平均はどのくらいなのでしょうか。総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると、平成25(2013)年の1住宅当たりの延べ床面積の平均は94.91平方メートルです。これは一戸建て、長屋、共同住宅を全てひっくるめた平均値で、戸建て住宅だけで見ると平均は129.09平方メートル(39坪)となっています。従って、延べ床面積35坪(115平方メートル)は、戸建て住宅の平均広さよりやや小さいことになります。

しかしながら35坪の面積を確保できると、3LDKで20畳のリビング・ダイニングを確保することも可能です。【図1】の間取り図をご覧ください。
 

3LDKの2階建てで、リビング・ダイニングは20畳を確保

【図1】20畳のリビング・ダイニングを確保した延べ床面積35坪の家の間取り例(クリックで拡大)

【図1】20畳のリビング・ダイニングを確保した延べ床面積35坪の家の間取り例(クリックで拡大)


こちらの間取り図は1階の床面積は63.77平方メートル(19.29坪)、吹抜けのある2階は52.98平方メートル(16.02坪)、合計した延べ床面積は116.75平方メートル(35.31坪)となっています。

1階のリビング・ダイニング・畳の間は一つの大きな空間で、合わせて20畳の広さを確保しています(薄紫の部分)。部屋の形は使いやすい長方形で、ダイニング・リビング・畳コーナーとゾーン分けがしてあります。

延べ床面積35坪の一戸建て住宅で20畳リビングを確保するために行った工夫、間取りのポイントは下記の通りです。
 

間取りのポイント1:廊下スペースを減らし収納スペースを増やす

前ページ【図1】の間取りをご覧いただいた通り、20畳のリビング・ダイニングを確保するために、1階の廊下の面積を極力抑え、その分、リビング・ダイニングや収納の充実を図っています。玄関脇にはスキー板やゴルフバッグなどの長モノもしまえる便利なシューズインクロゼットを、キッチン脇に食品庫を配置しました。

 

間取りのポイント2:家事動線(バックヤード動線)の確保

家事動線(バックヤード動線)とは、炊事や洗濯など日常的な家事を行う際の経路(動線)のことで、長くなると移動に時間がかかり家事効率が悪くなります。

今回の間取りでは1階のキッチンから食品庫を経て洗面脱衣・ユニットバスがつながっており、バックヤード動線が確保されています。そのため、食事作り(キッチン)―洗濯(洗面脱衣)―お風呂掃除・入浴介助(ユニットバス)といった家事がスムーズに行えます(【図1】中の青色の矢印参照)。

 

間取りのポイント3:将来は2室に分けることができる子ども室

2階の子ども室は12畳の広さを確保し、入口を2カ所設けています。中央の点線部分に間仕切りを設ければ2室に分けることが可能です。子どもが小さい時は兄弟姉妹で一緒に、成長したら部屋を分けるなど、家族の成長に合わせて変えることができる、フレキシブルな間取りです。

 

間取りのポイント4:2wayの共用納戸

2階の廊下には3.3畳の納戸を確保。廊下からも子ども部屋からも使える2wayアクセスになっています。アクセス方法の工夫や引き戸の採用で、共用納戸の収納のしやすさ、収納量の確保を試みています。
 

間取りのポイント5:吹き抜けがある間取り

南向きリビングの上部を吹抜けにし、2階の廊下や寝室・子ども室からリビングの様子が分かるとともに、各個室に良好な通風や採光が享受できるようにしています。
 
リビングの上部吹き抜け(イメージ)

リビングの上部吹き抜け(イメージ)


吹抜けや、次に触れるリビング階段を採用する際に気を付けたいことの一つに、1階と2階の間で音が伝わりやすくなることがあります。例えば夜中に1階で話している声やテレビの音などが響いて2階で寝ている小さな子どもが目を覚ましてしまう、なんてこともあるかもしれません。リビングに面する窓の遮音性や、ベッドの位置を検討するとよいでしょう。

また、冷暖房を行う際にこの吹抜けを通して冷気は1階に下がり、暖気は2階へ上がっていきます。2階の天井に空気をかくはんするシーリングファンを設けるなどの工夫をしたいものですが、基本的に家全体が高断熱・高気密になっていることが大切です。

 

リビング階段でリビングをより広く見せる

リビングをより広く、開放的な空間にする一つのアイデアとして「リビング階段」があります。リビングと階段の間に壁がなく、階段をリビングの一部に取り込むという手法です。階段を美しくデザインすることで家の中に見せ場を作れることも、リビング階段のメリットの一つです。
 
リビング階段の一例

リビング階段の一例


気を付けたいことは、リビングにお客様を通した時などに、他の家族が2階に行くときに必ず顔を合わせなくてはならないことです。お客様を呼ぶ頻度や、その他の家族の生活スタイルなども含めて計画する必要があります。
 

35坪(115平米)の家で理想の間取りを実現

今回は、平均よりやや小さい、延べ床面積35坪(115平方メートル)の家でも、やり方次第で20畳のリビング・ダイニングが確保できるという間取り例を取り上げ、ポイントを解説しました。
35坪の家でくふうして希望の間取りを実現しよう

35坪の家でくふうして希望の間取りを実現しよう


今回の間取りは南向きに開口が広く取れる「東西に長い敷地」を想定して作成いたしました。東西に長い敷地は好条件が揃っており、通風・採光ともに良好で、明るく開放的な住まいが実現できるでしょう。

 
【参考サイト】
日本統計年鑑(総務省)

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