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犬を多頭飼いするときに気をつけることとは?先住犬の性格や相性など

犬の多頭飼いに憧れる人も多いですが、一緒に暮らす生活環境や、犬の性格や性別、年齢やしつけの度合いなどによって気をつけたいこともあります。犬と暮らしはじめると、「もう一頭いたらなぁ……」と思うこともあるでしょう。多頭飼いをする際の注意点についてご紹介します。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

性格や相性……犬を多頭飼いするときに気をつけるべきこと

犬が幸せになる多頭飼いとは?

犬が幸せになる多頭飼いとは?

犬との暮らしは楽しいもの。「もっと犬が欲しいなぁ」と多頭飼いを考えている人も多いことでしょう。しかし、多頭飼いをする際には、気をつけたいこともあります。先住犬のこと、新しく迎える子のこと。そのポイントについて、お話しましょう。  
 
<目次>
 

犬を多頭飼いできる生活環境か?

柴犬とミニチュア・シュナウザーの子犬
この2頭はオス犬同士。状況によっては、オス犬同士でもうまくケースもある。
犬がもう1頭増えるとなると、そのためのスペース、食費や医療費をはじめとした飼育費、世話にかける時間……などが倍になります。飼育スペースを確保できるか、経済面でそれだけの余裕があるか、世話にかけてやるだけの時間を確保できるか、家族は賛成しているかなど、自分の生活環境とライフスタイルを今一度振り返ってみましょう。

1つでも問題があるなら、無理をして多頭飼いをする必要はないと思います。先にいる子を幸せにしてあげることのほうが大事。欲しくても我慢をする、それがある意味では犬への愛情と言えることもあるのですから。
 

先住犬の健康状態や年齢は?

何より大切なのは、先住犬です。2頭目を連れてきたことで、先住犬にイヤな思いをさせてしまうのであれば、同居生活もうまくいかなくなります。

まず考えたいことの1つが、先住犬の年齢と健康状態です。若くて健康であり、性格的にも新しい子を受け入れやすいタイプであれば、それほどストレスもかからず多頭飼い生活を楽しむこともできるでしょうが、先住犬がシニア期に入っている場合、新しい子の存在がストレスになることがあります。その先住犬が何らかの病気を抱えていると、ストレスも倍増することになってしまう可能性もあるので、年齢と健康状態は是非考慮に入れてください。

逆に、中には新しく子犬を迎えたことで、そこからエネルギーをもらうかのごとく元気になるシニア犬もいます。ですから、先住犬がシニア犬であると多頭飼いは無理ということではありません。要は、ケース・バイ・ケースということです。
 

先住犬の性格は?

次に考えたいのが、先住犬の性格です。5つの性格別に見てみましょう。
 
  1. 攻撃的な子は、2頭目の子を受け入れにくいと考えられます。同居してもケンカばかりになったり、場合によっては2頭目の子も先住犬の影響を受け、攻撃的になってしまったりする可能性もあります。
     
  2. 好奇心が旺盛で、他の犬とも仲良く遊べるような子は、概ね、多頭飼いには向いているでしょう。
     
  3. おっとりしてマイペースな子は、たいていは新しい子を受け入れやすいものですが、ややもすると、イヤなことも我慢してしまうようなところもあり、場合によってはストレスにつながることも考えられます。
     
  4. やんちゃで、とにかく元気の塊というような子は、新しい子を受け入れやすくはありますが、2頭目の子が奥手なタイプだったりすると、逆にその子の方にストレスがかかってしまうかもしれません。
     
  5. 甘えん坊で、飼い主さんにベッタリという子は、新しい子にヤキモチをやいていじけてしまったり、場合によっては攻撃的に出たりすることも考えられます。

もちろん、こういう性格だから絶対こうなるということではありませんが、性格によっては多頭飼いに向く子、向かない子がおり、それは2頭目の子についても同じことが言えます。ここでは大雑把に5つの性格に分けてみましたが、人間同様、犬の性格も十犬十色。自分の子が多頭飼いに向く性格をしているかどうか、よく考えてみましょう。
 

先住犬のしつけ度は?

犬は学習できる動物です。ですから2頭目の子は先住犬の様子を見て、そこから学んだり、影響を受けたりすることがよくあります。

基本、新しく来た子にもしつけは必要です。先住犬の真似をするから大丈夫と思っていると、先住犬のしつけがうまく入っていなければ2頭目の子も悪い癖を引き継いでしまうでしょう。

トイレや無駄吠えのしつけはもちろん、ある程度のしつけが先住犬に入っているかどうかも考えることが大切です。中には5頭6頭と犬を飼ったのはいいものの、1頭吠え出すと全員が吠えてしまい、収拾がつかなくなるというケースもあります。小型犬であっても数が集まるとそれなりの音量になります。ご近所からクレームが出ないように、先住犬のしつけの入り具合については今一度チェックしておきましょう。 
 

オスか、メスか?

仲良く遊ぶ同居犬
相性が合えば、楽しさや嬉しさも倍になる多頭飼い生活。
2頭目の子を迎える時、オス犬かメス犬にするか悩むところです。最もトラブルの少ないのは、オス犬とメス犬の組み合わせです。ただし、この場合は発情期の対策が必要になります。子犬を望まないのであれば、どちらかを避妊・去勢する必要が出てくる可能性があります。メス犬が発情期となり、同居犬のオス犬が気もそぞろで、食事も口にしなくなるということもあるので、様子を見て手術が必要と思われることもあります。

次にトラブルの少ないのは、メス犬同士の組み合わせ。オス犬同士の組み合わせでは、将来的にオス犬としての争いが起こることもあり得ます。だいたい、生後6ヶ月齢を過ぎると性成熟を迎える時期となりますから、注意が必要です。

しかし、オス犬同士でもうまくいくケースもあります。それは年齢的な差であったり、性格であったり、オーナーの対処の仕方などによるので、オス犬同士であるとうまくいかないというわけではありません。
 

体の大きさはどのくらいがいい?

先住犬と2頭目の子との体の大きさも考えたほうがいいでしょう。おおむね大きさにそれほど差がなければ問題も少ないでしょうが、大型犬と小型犬との組み合わせであった場合、何かのきっかけで小型犬が押しつぶされたり、ケガをしたりしないように配慮は必要です。

特に、先住犬が大型犬で2頭目を小型犬にした場合、先住犬が受け入れずに攻撃的に出てしまったとしたら、大きなケガを負わせてしまうことにもなりかねません。すでに多頭飼いをしている人達の話をお聞きすると、先住犬が小型犬で、あとからやってきた子が大型犬であるケースのほうが、どちらかというとうまくいくことが多いようです。 
 

先住犬との相性は?

いきなり新しい子を連れてくるというより、できるなら事前に相性チェックができるとベストです。相性の合わない子同士で同居させてしまうと、ケンカばかりで、結局は離れた場所でそれぞれ生活をさせるようになったり、どちらかの子が大きくストレスを受け、精神的なダメージのみならず病気にまで発展してしまったりするケースもあります。

中には、先住犬を2頭目の候補犬のところへ何度か連れていき、一緒に遊ばせて相性を確認してから多頭飼いを決めたという人もいます。このくらいの努力はしてみて損はないでしょう。
 

将来のシニア期も考慮する

最後に、近年犬の寿命も延びたことから老犬介護のテーマが取り上げられる機会も多くなりましたので、一言付け足しておきます。

多頭飼いも、2頭というのではなく5頭6頭……と数の多い犬たちと暮らすお宅も増えてきました。それぞれの子が年齢的に近い場合、将来的に一斉にシニア期に入っていくわけです。場合によっては全員が老犬介護状態になることもあり得るのだということは、心のどこかで意識および覚悟しておく必要はあるでしょう。

犬との生活は楽しいことばかりでなく、最終的には老犬介護生活に明け暮れる日々が待っている可能性もあるのです。ただ欲しいからと安易に考えず、どうぞ先のことまでしっかり考えて、それなりの覚悟をもって多頭飼い生活をお決めください。
 

災害時は大丈夫?

そしてもう1つ。近年、いくつかの大きな災害が起こり、それをきっかけにペット対策の重要性も叫ばれるようになってきました。万が一の時、すべての愛犬たちに責任をもてるか、どう対処するか、自分にそれが可能かどうか、そういった点も考慮する必要があるのではないでしょうか。

以上のようなポイントをクリアし、多頭飼いをすると決めたなら、次のようなこともお気をつけください。
 

それぞれの子が安心できる居住スペースを

同犬種同士の同居
まずは、先住犬をたててあげること。それまでの生活と変わらないように。
新しい子がやってきたら、まず落ち着かせ、環境に慣らしてあげることが大切ですし、先住犬にしてみても多少のストレスはあるはずです。両方の子が安心して生活できるように、最初のうちは居住スペースを分けてあげるといいでしょう。

数日の間、別々の部屋で過ごさせ、徐々に慣らしていくのもいいですし、サークルなどでしきりを作り、互いが見える形で生活をさせてもいいと思います。いずれにしても、どちらの子も安心して休める場所があるようにしてあげます。
 

多頭飼いでは先住犬をたてる

新しい子、それが特に子犬であると、どうしてもその子に手がかかり、かまいたくもなりますが、多頭飼いをする時には、まずは先住犬を一番に考えてあげてください。

先住犬に対する世話がそれまでよりおろそかになったり、イタズラなど先住犬ばかりを叱ってばかりいると、いじけてしまったり、新しい子にやきもちをやいてケンカになったり、場合によってはオーナーへの信頼度が薄れてしまうことも考えられます。先住犬への接し方は、これまでと変わりのないようにしましょう。

食事を食べさせるのも先住犬が先、褒めてあげる時にも先住犬からというように、先輩犬としての立場を保ってあげてください。食べ物をきっかけにトラブルが起こることもあるので、与える順番などは、きちんとルールをつくってあげたほうがいいと思います。

犬同士の関係は犬同士で築くもの。仲良くなれるか、ケンカをしやしないかとあまりにかまい過ぎるのも考えものです。適度な距離を置きつつ、見守るように接してあげましょう。
 

多頭飼いは楽しい、しかし気づかいも必要

複数の犬たちと暮らしている人たちは、みな同じように「多頭飼いをしていて楽しい」とおっしゃいます。1頭1頭個性が違うため、それぞれの子のよさを味わえるというのは多頭飼育の魅力の1つでしょう。また、もともと犬は群れで生活しますから、仲間がいることでより自然な犬としてのつきあいができるということは犬たちにとってもいいことでしょうし、オーナーとしてそういう姿を見られることも喜びとなります。

それから留守番時。一頭で留守番をさせるのは忍びないですが、同居犬がいると思うと留守にするオーナーさんの気持ちも少し楽になるようです。実際、1頭ではどうにも落ち着いて留守番ができなかった子が、新しく同居犬を迎えたことで落ち着いて留守番ができるようになったという例もあります。

このように多頭飼いは得るものも大きいですが、その代わり、それぞれの子に対する気配りもより必要になります。たとえば病気になったら? ケガをしたら?……将来的に起こりえそうなこともあらかじめイメージをしておき、必要ならペット保険に入っておくなど、ある程度の将来設計は立てつつ、多頭飼い生活を楽しまれることをおすすめします。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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