マーケティング/マーケティングを学ぶ関連情報

意匠権訴訟、たまごっちを救え!

バンダイのペット飼育玩具の『たまごっち』に『ニュータマゴウォッチ』現れる。バンダイの新機種ではない、ヒット商品には必ず出る模造品である。当然、バンダイは自社の商品を守る為に、販売差し止め請求と損害賠償をもとめ、不正競争防止法違反および意匠権侵害を理由に裁判所に訴えを提起したのである。この判例から工業所有権の重要性をちょっと覗いてみましょう。

執筆者:木村 勝己

大きなヒットで、社会現象にまでなった、バンダイのペット飼育玩具であるが、ヒット商品には必ず模造品が出るのは、避けられないのであろう。へん平の卵型ケースに、液晶表示部をもち、画面に現れるヒヨコを飼育していく、キーホルダー型のゲーム機であるが、発売以来、中高生を中心に爆発的なヒットをとばし、1ヶ月以上の予約待ちの状態も続いて、実勢市場価格もだいぶ高騰した。

これには小学校への持ち込み禁止令がでたほどであり、皆さんの記憶にもまだ新しい事と思う。パソコンのソフトでは、魚をはじめペット育成ソフトがいくつか商品化されていた時期でもあったが、何時でも持ち運べて、友達同士で自慢しあったりできる、このかわいいタマゴ型のデザインのゲーム機は、そのネーミングの上手さも手伝って、一気にヒットしたのであった。

しかしここに現れたのが、『ニュータマゴウォッチ』である。へん平の卵型形状、液晶の大きさ、操作ボタンの配置、金属チェーンの形状等が類似しており、商品名も類似している感じである。当然、バンダイは自社の商品を守る為に、販売差し止め請求と損害賠償をもとめ、不正競争防止法違反および意匠権侵害を理由に裁判所に訴えを提起したのである。

ここで、意匠権について少しまとめてみたい。発明に代表される創作物には、その内容に応じていくつかの権利があり、先駆者利益が得られるように保護されている。大きく分けると、工業所有権と著作権であり、これらをまとめて知的所有権と言っている。工業所有権のなかには、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、などがある。ここで、今回の訴訟で対象となったのが、意匠権であり、そのデザインの美的斬新性、実用性について、権利授与が審議されるものである。

この裁判の結果は、ほぼバンダイの主張が認められるものとなった。相手側の類似品の販売差止請求と侵害物の廃棄を認め、損害賠償も要求額の1割であるが、2千万円が認められた。このように、工業所有権は排他的独占権であり、競合相手に対しても強い権利になっている。これから起業するかたや、新規事業に進出を考えている方も、精根込めて開発した新商品を模造品から守ために、特許戦略を充分に立てて、事業展開を進めてほしいと思う。

<関連サイト>
たまごっち事件第一審判決
http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/juris/tdcj-h10-2-25.htm




Copyright(c)2000 BANDAI CO.,LTD.
このページに掲載されている、たまごっちの画像は株式会社バンダイ及びその関係会社ならびに第三者が有する著作権により保護されております。著作権者の許可なく、複製、転載等の行為をお断りいたします。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場でマーケティング関連の書籍を見るAmazon でマーケティング関連の書籍を見る
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます