浴室/システムバス・浴槽の基礎知識

システムバスにみる 誰でも使いやすく安心な工夫とは

各メーカーから提案されている住宅設備・建材商品には、ユニバーサルデザイン(UD)に配慮したものが多くみられます。ここでは、システムバス商品のユニバーサルデザインをみていきます。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

住まいのプランはもちろん、住宅設備・建材商品には、ユニバーサルデザイン(UD)に配慮したものが多くみられます。特に、安全面が重視されるバスルームでは、プランニングや機器選びには充分な配慮が必要でしょう。新築やリフォームの際に、多くの方が取り入れるシステムバスをみてみると、安全性や使い勝手を高めたさまざまな工夫が提案されています。ここでは、最近のシステムバスに取り入れられているユニバーサルデザインについてまとめました。

[写真協力]  TOTO  

わかりやすい・使いやすい、安全・安心

ひと休みできるベンチタイプのカウンターを設けたプラン。開口部も広く取り、介護が必要な場合もでいりがしやすい。[サザナ]undefined

ひと休みできるベンチタイプのカウンターを設けたプラン。開口部も広く取り、介護が必要な場合もでいりがしやすい。[サザナ] 

ユニバーサルデザインの基本は、年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、すべての人々が気持ちよく使うことができ、誰にとっても使いやすいというもの。さまざまな考え方がありますが、住宅設備や建材を使う側(暮らす人)からみたときには、以下のような要素が挙げられるでしょう。
  • 操作方法や表示がわかりやすいこと
  • 操作や移動が楽なこと
  • 無理な姿勢や動きを必要としないこと
  • 誰もが使いやすく、将来的な変化にも対応できること
  • 安全に配慮され、安心して使用できること
  • お手入れが簡単なこと
これらのポイントに配慮したシステムバスは多くみられますが、商品として、どのようなプランやアイテム、機能が用意されているのか、具体的にみていきましょう。

安全性を重視し、滑らない床や手すり

バスルームは、住まいの中でも、特に安全性が気になる場所。事故を防ぐための工夫を施したシステムバスは多くみられます。

バスルーム内での転倒を防ぐため、滑りにくい床材はもちろん、浴槽の底部分にも滑り止めの加工を施すなど、安全性が高めたものがみられます。また、手すりを設けることも一般的となってきており、I型やL型など、いくつかのタイプなどが用意されているので、家族構成やプランにあわせて選ぶことが可能。ただし、浴槽へのまたぎ、立ち座りや洗い場への移動など、目的によって適する設置位置や形状が異なるので、プランニングの際には使い勝手をしっかり確認することが大切でしょう。

その他、つまずきを防ぐため、出入り口の床の段差を無くしたタイプも多くみられますし、出入り口扉には、開口部を大きく取ることができる3枚引き戸などの提案も。大きな開口部であれば、万が一の事故の場合でも対応しやすく、介助者と一緒に出入りも可能でしょう。また、出入口扉そのものも、緊急の場合に脱衣室側から開けることができる機能や幼いお子さんが使用していない浴槽に誤って落ちないように、チャイルドロックを取り付けることができるタイプもみられます。

水栓金具や浴槽の使い勝手もアップ

バーに組み込まれた水栓金具やアーチ型の縦手すりなど、デザイン性も高めつつ、使い勝手にも配慮。 [サザナ]

バーに組み込まれた水栓金具やアーチ型の縦手すりなど、デザイン性も高めつつ、使い勝手にも配慮。 [サザナ]

安全性や操作性を重視したいアイテムには、水栓金具やシャワーなどが挙げられます。水栓金具本体が熱くならないタイプであれば、うっかり触れてしまっても安心ですし、ハンドルやバルブではなく、スイッチやボタンを押すだけで湯の出し・止めができるタイプなどであれば、目をつぶっていても使いやすいでしょう。ハンドシャワーであれば、手元でオンオフ できるタイプも便利なもの。その他、座ったままでシャワーを浴びることができたり、シャワーだけで湯船に浸かったように身体全体を温める機能も持つ商品提案もみられます。

また、出入りがしやすく、溺れなどの事故を防ぐことのできる形状の浴槽も各社から提案されています。入りやすい高さのものや腰掛けてから楽な姿勢で入浴できるタイプなども。浴槽につながるベンチタイプのカウンターや腰掛けられる風炉フタを用意した商品もみられます。浴槽内での姿勢保持などをサポートするグリップ(握りバー)、つかみやすい浴槽の縁部分などの工夫も。その他、無理のない姿勢で身体や顔を洗うことができるように、洗面器を置くカウンターを設けたタイプの商品もあります。

温度差や掃除のしやすさにも配慮

部屋ごとの急激な温度差は身体に影響を及ぼすもの。ご家族に高齢の方がいらっしゃるのであれば、バスルーム内の温度にも配慮しておくことも重要です。空間全体の断熱性能を高めたシステムバスもありますし、浴室暖房乾燥機や暖房機器などを設置して温度環境を整えても。脱衣室を含めて検討することも大切でしょう。その他、冷たさを低減した床材などを揃えた商品もみられます。

また、掃除やお手入れがしやすいこともユニバーサルデザインの要素のひとつ。汚れにくい素材を用いたり、排水口やドアなどの形状などを工夫することにより、掃除が楽になる工夫が各社から提案されています。ワンプッシュで浴槽の排水が可能な排水栓なども便利でしょうし、浴室内照明は長寿命のLEDを用いたものであれば電球の交換手間を削減することができます。選ぶ際には、入浴することだけでなく、お手入れに関してもチェックしておきたいものです。

家族構成や入浴スタイルにあわせて

不自由な身体でもリフトで入浴することが可能になる機器も用意されている。[サザナundefinedスライドチェア]

不自由な身体でもリフトで入浴することが可能になる機器も用意されている。[サザナ スライドチェア]

システムバスの場合、このようなユニバーサルデザインが標準仕様となっている場合と、オプションとなる場合があります。選ぶ場合は、どの部分は標準で、何がオプションになるのか、確認することを忘れずに。

システムバスだけでなく、いずれの設備・建材も自分にとってもわが家にとって使いやすいものをしっかりと見極めるためには、ショールームで実物を確認し、試してみることが重要です。ショールームによっては、ユニバーサルデザインのプランや商品を揃えた展示コーナーを設けているところもあるので、実際に操作したり、浴室や浴槽内などに入って、体感してみること。誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインの工夫の中から、将来的なライフスタイルを考慮しつつ、わが家の優先順位を決めて選ぶことが大切でしょう。


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