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転職前にチェック!雇用保険の失業給付

無職になった時に心強いのが雇用保険。特に失業給付(基本手当)は、生活費などを考える上では避けられないもの。イザという時のために、基本手当について調べておきましょう。

福一 由紀

執筆者:福一 由紀

ファイナンシャルプランナー / 仕事・給与ガイド

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失業保険
労働者にとってイザという時に安心なのが雇用保険の失業給付。制度をきちんと確認しておきたい

突然解雇されたとしても…

サラリーマン(ウーマン)にとって、会社の倒産や突然の解雇などは生活を揺るがす一大事。また、転職を考える人にとっても新しい会社が決まるまではお金の心配がでてきます。

そんな時に心強いのが「雇用保険」。労働者が失業状態になった時、雇用保険に入っていれば、失業給付(基本手当)を受けることができます。今回はこの「失業給付(基本手当)」をご紹介しましょう。

雇用保険には様々な給付が

まずは、雇用保険制度のおさらいから。雇用保険は政府が管掌する強制保険制度となっています。ですから、サラリーマン(ウーマン)は、基本的にはこの雇用保険に加入しているということです(常時5人未満の農林畜産業など、一部適用されないものもあり、個人事業主なども被保険者になりませんので、各自ご確認ください)。

この雇用保険は、労働者が失業した時にお金の心配をすることなく就職活動が出来るようにと給付される失業給付(基本手当)や、指定の教育を受けた時に給付される教育訓練給付金などの制度があります。また、育児や介護で仕事を休業する時に給付される育児休業給付や介護休業給付もこの雇用保険の制度です。

このように、労働者が仕事が出来なくなる時、また仕事を続けたい時、新たな仕事にチャレンジしたい時に利用できるのが雇用保険なのですね。

失業給付(基本手当)はパートでも受給可

雇用保険の失業給付(基本手当)についてご紹介します。この基本手当は雇用保険の被保険者が失業状態になった時に支給されるものです。 ただ、誰でも支給されるわけではありません。 給付される条件は以下の2つ。

  • 「就職しよう」という意思があるにも関わらず、就業できない失業状態であること
  • 離職するまでの2年間で、雇用保険に加入していた月が通算して12か月以上あること(パートなどの日給計算の場合、雇用保険に加入していた月にカウントできるのは、賃金支払の基礎となった日数が11日以上の月です)

また倒産・解雇等により失業した人や、特定理由離職者(契約期間が終了し更新がない人、病気や妊娠などの正当な理由で離職した人)は、離職するまでの1年間で、雇用保険に加入していた月が通算して6か月以上あればOKです。

また、パートタイマーなどでも、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上引き続き雇用されることが見込まれるのであれば雇用保険の被保険者となり、正社員などと同様の条件で基本手当を受けることができます。

給付額は在職中の賃金から計算される

この失業給付(基本手当)の支給額は、1日当たりの支給金額を「基本手当日額」として示されています。 この「基本手当日額」の算出の仕方ですが、まず「賃金日額」というのを計算します。

この賃金日額は、退職前の1日あたりのお給料ということで、退職日の直前の6か月に支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額です。この金額の中にボーナス等は含まれませんのでご注意を。

この「賃金日額」のおよそ50~80%(60歳以上65歳未満については45~80%)が基本手当の支給額となっています。また、基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が決められています。平成29年8月1日から実施される上限額は以下の通りです。

  • 30歳未満     6,710円
  • 30歳以上45歳未満 7,455円
  • 45歳以上60歳未満 8,205円
  • 60歳以上65歳未満 7,042円

失業保険の支給日数は勤務期間と年齢、退職理由による

失業保険
失業した時に支給される失業保険の基本手当は、1日あたり「基本手当日額」が支給されるのですが、いったい何日間支給されるのでしょうか?それは、退職理由と被保険者期間、年齢によって変わってきます。

退職理由は、自己都合や定年である時と会社の倒産や解雇など会社理由である時の2つに大きくわけられます。また、就職困難者(身体障害者や知的障害者など)は退職理由に関わらず支給額が決められます。

雇用保険の基本手当の所定給付日数

【雇用保険の基本手当の所定給付日数】
雇用保険の失業給付(基本手当)の給付日数表。90日から360日まで条件によって支給日数が変わる

 

まずはハローワークで手続きを

失業給付の支給を受けるためには、ハローワークに出向いて手続きをする必要があります。その時に、退職した会社から受け取った「離職票」が必要になりますので用意しておきましょう。また、離職票に書かれている離職理由も、「働く意思はあるがその職場では働き続けることが難しかった」といったような理由でないと基本的には手当を受給することはできませんのでご注意を。

この離職票を持って、ハローワークで手続きをします。離職理由などを再度確認されます。これが認められたら、基本手当の受給が決定です。

支給開始日に注意

雇用保険の基本手当ですが、「退職したらすぐに支給される」と思っていたら大間違いです。退職理由により支給の開始日が変わってきますのでご注意を。

まず、ハローワークで受給手続きをすると、その後「待機期間」が7日間あります。つまり、手続きをして1週間は手当が支給されないということです。

自己都合による退職であれば、それにプラスして給付制限期間が3か月あります。会社が倒産したり解雇であったりした場合は、手続き後1週間で給付されるのですが、それ以外の場合は、3か月と1週間は手当が支給されないということですね。

給付を受けられる受給期間は、離職の日の翌日から起算して1年間です(所定給付日数330日の場合は1年と30日、360日の場合は1年と60日)。1年を過ぎたらそれ以降は、給付期間が残っていても支給はされなくなります。給付の手続きは早めにするようにしましょう。

ただし、その間に病気やけが、妊娠、出産、育児などで引き続き30日以上働くことができなくなったときは、最長で3年間受給期間を延長することができます(受給期間延長の申出は、職業につけなくなった日の翌日から1か月以内に申請が必要)。

不正受給は3倍返し!

労働者にとってイザという時に安心なのが雇用保険の失業給付ですが、失業状態になれば誰でも受給できると思っているのであれば、大きな間違いですよ。 失業給付(基本手当)は、働く意欲がある人が安心して再就職活動を出来るようにと支給されるものです。

はじめから働く気がなく就職活動もしていなかったり、内緒で働いたりしている人が受給しているのがわかったら、ペナルティが課せられます。

それまでの支給された手当はもちろん返還しないといけませんし、支給を受けた2倍の金額の納付が命ぜられます。いわゆる「3倍返し」ですね。こんなことにならないように、不正受給は絶対にやめましょう。

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